日蓮大聖人様のお言葉

平成28年11月

本尊問答鈔ほんぞんもんどうしょう
  • 弘安元(1278)年
  • 聖寿 五十七歳
  • 著作地 身延山

【解説】

このお手紙は、故郷の兄弟子の浄顕房へ御本尊と一緒に与えられたものです。

「僻事」とは、事実や物の道理に合わない過ちのことです。一人の過ちは、池に投げ込んだ石のように周囲に波紋を広げ、やがて社会全体を巻き込む大問題になることも少なくありません。先頃の宇都宮の爆発事件や、横浜市で高齢者の運転する軽乗用車が集団登校中の小学生の列に突っ込んだ事件など、一人の問題が大勢を不幸に陥れてしまう事件が続発しています。

一方、周囲の幸せを願う「善」の言動も、本人に止まらず世の中に広がっていきます。小さな思いやりや励ましの心で人に接することを心掛けていけば、やがては周囲を和ませ、良い人を育くみ、安穏な社会が実現していくはずです。

日々の生活の中で「善」の心と行いを地道に粘り強く積み重ねていくことがとても大切なのだと、お祖師様はお示し下さっています。

(平成28年11月)